2008/05/13

「露出系フェチ」ケーススタディ 加世(前)


若村です。今日会うのは露出フェチの飯倉加世さん(仮称)。23歳、大学院生。
電話での話によると、普通の「露出フェチ」とは少し違うようだ。
その辺のところを詳しく訊いてみたい。
夜、駒沢通り沿いのファミレスで待ち合わせることにした。

約束の時間を10分ほど過ぎて、加世は入ってきた。
電話で話したぼくが被っているキャップを見つけ、こちらに近寄ってきた。
「若村さん?ですよね。すいません、遅れちゃって。加世です。」
「はじめまして、若村です。どうぞ、座って。」
かなりの美形だった。背が高く、170センチ近くはあるだろうか。
顔立ちは整っていて、大胆なミニのせいか、脚が長くスラッとしている感じだ。
モデルぽいというか、いわゆる日本人的な体系ではない。
それにかけているメガネが、ちょっと街で偶然見かける芸能人の雰囲気がある。さすがに露出系だ。
「もう食事はされましたか?」
「いえ、それがまだなんです。」と羽織っていたカーディガンをたたんで横に置いた。
「ぼくもまだなので、食べましょう。今日はおごります、っていってもファミレスですけど…」
「わあ、うれしい! 実はお腹減っちゃってて。」
歳の割りには、大人っぽくて、頭が良さそうな印象を受けた。
二人でファミレス特有の割安なコースメニューを頼んだ。
ウエイトレスに注文を繰り返されている時の妙な間で、目と目が合い、
何かきっと同じ事を感じているんだろうなぁ、と互いに思っている気がした。
「あのぉ、ぼくのサイトをよく見てもらっている、ということで…」
「はい、そうなんです。いいですよね、あれ。
えっちなんですけど、なんかこう、
普通と違うっていうか、よくあるエロなものと違いますよね。」
「あ、どうもありがとう。そう、巷のエロサイトはあんまり好きじゃなくて、
いろいろ考えた挙句、あんなサイトになってしまったんです。
あのサイト、加世さんのどこに刺さったんですか?」
「なんていうか、あの、決まりきったカテゴリーに分類されていないところがいいですよね。
大抵はカテゴリーから選んでいくじゃないですか。」
「はいはい。」
「そもそも私は、いつもカテゴリーから調べたくないんです。」
「ふうん。ところで加世さんはいま、確か大学生?」
「はい、院生です。」
「あ、失礼。どこの?」
「T工大です。」
「ほう!…何の勉強を?」
「社会理工学といって、ちょっと説明が難しいんですけど、
ううんと、人間の行動のいろいろなことを科学的に考える、というようなことです。」
「へえ、見た目もそうですけど、頭がいいんですね。」
「はい。頭はいいですよぉ(笑)」
美形で、スタイルも良くて、頭もいい。
まさに鬼に肉棒?、いや金棒。
「なぜ、カテゴリーが嫌なんですか?」
「だって、人間ひとりひとり違うのに、便利だからといって何々タイプと決めつけられると、本質的じゃなくなってしまうし。
この前だって、引越しで家を探すのに、何々沿線か?とか、マンションか一軒家か?とか、予算は?とか。
すごく気に入る物件なら、マンションだって、何線だっていいのに。
そんな風な探し方しかできないことに、すごく不満に思ったんです。そんな感じです。」
「うん、それはまったく同感。ぼくもそうです。」
ウエイトレスが料理を運んできた。
「チキンサラダプレートのお客様?」
「あ、はい。」とぼくは軽く手を上げた。
そして二人にプレートが並び、二人とも「いただきます」をした。
「今だって、そうですよね。」と加世は小声で続けた。
「だって、さっき若村さんがそれを頼んだのを彼女、知ってるはずなのに、
なんでまた訊くのだろう?って思うんです。」
「確かに。」
「カテゴリーやシステムで便利になっちゃってるから、
そこにハマった行動に、人間、つい、なっちゃうんです。」
「さすが!人間行動学部。」
「ビミョーに違いますが。。」
「ところで加世さん。加世さんはつまり『露出フェチ』とは言えないんですよね?」
「それもビミョー。言えるといえば言えるんですけど、言えないといえば言えない。私、やっぱ理屈っぽいですかね?よく人に言われるんですけど。」
「んん? 頭がいいだけなんじゃない?」
二人とも笑った。食べながら会話がはずんでいく。
「結局、加世さんのフェチを何て表現したらいいんだろう?」
「難しいですね。」
「具体的に、どんなことに興奮するの?」
「んん、私の場合はねぇ、人に見られる環境で、人に見られないように、
ギリギリ危ないことをする、ってことかな。」
「たとえば?」
「たとえば? そうねぇ。普通に電車の中で、オナ、するんです。」
「ええ!マジですか?」
「うん。たぶん、気づかれてはいないと思うんですけど、誰かに気づかれてるかもって勝手に想像すると、すごく興奮するんです。でも本当に気づかれちゃうのは、怖くてできない。」
「それで最後まで? そのぉ、イッちゃうんですか?」
「はい。ほぼ毎回。」
「へえ!」
「大学でもよくやります、講義中に。」
「! スリルが刺激として必要なんですね?」
「ええ、たぶん。」
「それは何だろう?確かに露出フェチってことでもないなぁ。視漢され妄想フェチかな?
ねえ、加世さん。加世さんてスタイルいいし、モデルとかやってないんですか?」
「やってました。ちょっと前までは。バイトで。
その頃もやっぱり、見られることにちょっと快感があって。
実は浅草のストッリプ劇場でバイトしたこともあるんですよ。」
「すごい!ストリップを?」
「でもすぐ辞めちゃいました。1週間踊りの稽古をして、
デビュー初日に辞めちゃいました。」
「それは何で?」
「なんか、やっぱ本当に見られるのって怖いんです。視漢され『妄想』フェチって言えてるかもしれない。
ただ、男の人が見ている目、目つきとか、見ている表情とか、なんかヤラシくて。あれがすごくいい。
よく駅の階段なんかで、女子高生が先に昇っていると、おじさんたちがチラチラ見るでしょ。
私、あの目つきを見ると、汚くて嫌なんだけど、なんか脳の奥があつ~くなる感じがするの。」
と話す語尾で目を閉じた。加世はその目つきを思い浮かべているようだ。
「うん、それはわかるような気がする。」
「だからね、あの目つきで自分が見られてるって想像すると感じちゃうんです、たぶん。」
「それにしても加世さんの今日の格好、セクシーですね。」
「さっき初めて会った時、私の脚、目を盗んで見てたでしょう?」
少し怒ったような加世のその表情は、なんだが前々から知り合いだったような感じを覚え、二人の精神的な距離を急に接近させた。
「そりゃそうだよ。そのスタイルでこんなミニ履かれたら、誰だってソコに目が行くに決まってるじゃん。」
と、こちらも少しフランクな言い方ができた。
「私、男の人のその目つき自体は、もっと見たいの。だからこんな格好をしちゃうのね。
でも、下着履いてないってとこまではわからないでしょ?」
「えっ、ええ?ノーパンなの?」
加世は少し含みあり気に頷いた。
(つづく)

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

きましたね~、若村レポート。
頭のいい女の人のスケベって、即物的でなく脳の中で展開するので、ほんとうにエロいですよね。
早く次が読みたいです。

匿名 さんのコメント...

加世さんが「170cmの長身」で「工業大学生」というのがいいですね・・・。

匿名 さんのコメント...

自身のエロを語る女の人、その態度がすでにいやらしいなあ。。。
レポートってカタチもなんだかエッチに思えてきました。

弱変態な面々 さんのコメント...

コメント、ありがとうございます。
後半の展開、ちょっと難しいですが、まもなくアップします。